
長くyohakuで扱う織物「備後節織(びんごふしおり)」。
現代では希少な織物になっているため、わたしたちにとって特別な存在でもありますが、一体どこに魅了されているのか?
改めて振り返り、備後節織の特徴や気づきをまとめました。
1.備後節織を使い続けている理由
備後節織の出会いは、生地を取り扱う番匠さんからの連絡がはじまりでした。
現在、備後節織を織り続けているのは、わずか二件の機屋さんだけになっています。
時代の流れとともに織れる柄は少しずつ減り、長年色を支えてくださった染め職人さんの退職により、惜しまれながら廃盤となった色もあります。
yohakuが大切にしたいのは、作れる量が減ったからといって、この織物を遠い存在にしてしまわないこと。
かつての日本人が日々の暮らしの中で当たり前のように着ていた布を、いまの私たちの日常にも無理なく馴染み、心地よく着続けられること。
その日常の風景を繋いでいけることに、私たちは大きな喜びと感謝を感じています。
不規則な糸の表情が生む、どこか自然のような心地よさは、yohakuの服作りと通じるものがありました。
とても感覚的ですが、それが備後を長く扱う理由なのだと改めて気がつきました。
備後節織は、私たちにとって特別なものでありながら、毎日の暮らしにそっと寄り添う、とても身近な存在です。
2.素材、織り、色
日本三大絣は久留米絣(福岡)・伊予絣(愛媛)・備後絣(広島)と言われています。
備後節織は、このうちの「備後絣」から派生した織物です。
もともとさらりとした感触が特徴の備後絣に対し、備後節織はポコポコとしたネップ(節)のある豊かな表情が最大の特徴です。
機械織りでありながら、まるで手織りのような温かみと素朴な風合いを持っています。




この備後節織の風合いを作るためには、全ての工程において人の手が加わり、長い時間をかけて作り上げます。
まずは煮沸した生糸を藍や柿渋、墨汁などの染料で染色することから始まります。
天日に干して糸に色を馴染ませていくので、天候に左右されやすく、天気をしばしば待つこともあるそうです。




できあがった糸は、昭和30年代に製造された旧式のシャトル織機へ。
職人さんが機械を微調整しながら、時間をかけてゆっくりと織り上げていきます。
現代主流の高速織機が1日に数百メートルを織り上げるのに対し、備後節織の織機で織れるのは、1日にわずか1反(約30m)ほど。
糸作りから織り上がりまで、すべての工程に人の手と果てしない時間がかかります。
でもそれらの時間が、糸に無理な負荷がかからず、備後節織ならではのふっくらとした風合いと美しさを生み出しています。
備後節織で初めて使った布が藍(濃紺)です。
光に当たることや人が着ることで布の凹凸がよく分かり、より一層その色の良さが引き立ちます。
今は藍と生成がyohakuの定番色で使っています。
今シーズンは「大名縞 墨・墨・藍緑」の3色をスポットカラーで選びました。
私たちが日常で着やすく、取り入れやすい色と柄をいつも選ぶようにしています。
3.長く着られる心地よさ、経年変化

備後節織を長い間着られる理由として、生地が丈夫であることと、もう一つは着ごこちがとても良いことです。
木綿は吸湿性が高く通気性にも優れているため、汗ばむ夏には涼しく、
冬はふんわりと空気を含んで暖かく着こなすことができます。
布が肌に密着することがなく、適度な肌あたりで1日中さらりとした着心地を体感いただけます。
そして使い込むほどに布が柔らかくなるので、馴染みがよくなり履きやすくなっていきます。

(写真左 3、4年着用 右 新品)
(10年近く着用している備後節織、普段着から畑の仕事着になりました)
天然色は日光に当たることや洗濯を繰り返すことで褪色していくので、着れば着るほど布の見た目は変わっていきます。
人工的ではなく自然色の経年は、四季のうつろいのように「あ、なんか変わってきたな?」と思わされます。
備後節織は作る工程に時間をかけていますが、着ている私たちも長い時間をかけて味わうことができます。
4.新しい備後節織のデザイン
古き良き織物を現代でも気兼ねなく着られるようにと、yohakuでは備後節織を長く着られて、そして誰もが着やすいデザインを考えてきました。
今回新しく作ったのが「ワイドパンツ」です。
ワイドと名前が付いていますが、大幅に広がっているわけではなく、適度な幅なのがポイントです。
小柄な方でも着やすいので、パンツが上手く着こなせない方にもおすすめです。
また裾がややすぼまっているので、足さばきもよく、快適に歩くことができます。
普段着・おしゃれ着として様になる1着です。
備後節織は人が着るとうんと魅力が増し、見かけたら思わず声をかけたくなります。
新しい備後のデザインを、着心地の良さを確かめながら、ぜひお試しください。
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